歯を削ると口腔内、顎の関節、全身にまでゆがみが生じる

 『私がまだ駆け出しの歯科医だった頃の話です。
 左上6番目の歯がない患者さんに銀歯のブリッジをするため、マニュアル通りの歯冠形成(歯を削って被せものを装着しやすいように形を整えること)を行っていました。

 最初に左上5番目の歯を削って銀歯を入れるためのスペースを確保し、続いて左上7番目の歯の噛み合わせ面を削っていたときでした。
 その部分を削れば削るほど、確保しておいたはずのスペースが縮まっていき、とうとう左上5番目の歯と左下5番目の歯が接触するようになってしまいました。これでは他の歯が噛み合わなくなり、うまくものが噛めなくなってしまいます。

 間違いなくマニュアル通りにやった。それでも上手くいかないのはなぜか。どうしていいのか分かりませんでした。その時は仕方なく、再び左上の5番目と7番目の歯を削ってスペースを作り直してその場をしのぎました。
 しかし銀歯を装着する時になっても原因は分からないままでした。友人や先輩にも聞いてみましたが、「そういうことはよくあることだよ」と言われるだけでした。

 患者さんを前にして、私は「カチカチと噛んでみてください。高くはないですか?」と聞くしかありませんでした。

 今思えば、最初に左上5番目と7番目の歯を削ったことで口腔周囲の筋肉や顎の関節を支える軟組織、ひいては全身にゆがみが生じてこのようなことが起こったのです。左上5番目の歯と左下5番目の歯が接触するようになったのは、上下の歯が接触し合うことによって、それ以上身体がゆがまないようにストッパーの働きをしていたのです。
 もしストッパーが働かなければ、やがて顎全体がゆがみ、身体のバランスが崩れていき、数ヶ月後には顎が悲鳴を上げる状態に陥っていく。つまり顎関節症になるのは避けられなかったでしょう。

 歯を削ると身体にゆがみが生じることは、体調が良い時でも起こることです。ましてや体調が悪い時は、絶対に歯を削るのはやめるべきです。』

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